1207人が本棚に入れています
本棚に追加
その症状に前兆はなく、
ある日突然にあらわれた。
僕は高校時代の恩師の葬儀に参列するため、友人宅に車を走らせていた。
到着すると、友人は地面をつま先で蹴りながら出て来たところだった。
『おっおい、お前どこに行くつもりだよ!』
友人は僕の体を指差し、不審気にそう言った。
僕はその意味が解らずに狼狽していると、
『お前ちゃんと喪服着ろよ、それ青のスーツじゃねえか』
『えっ…』
黒の喪服を青のスーツと間違えて着用する。
これはどう考えても異常であること外ならない。
なぜ気がつかなかったのだろう…。
友人はなははと笑いながら、俺の親父のを使えと言った。
僕はただただ恐縮した。
最初のコメントを投稿しよう!