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――と、大地の記憶はここで途切れている。確かに、草や木の実を食べていたはずなのだが、何故か今は部屋にいた。
「……こ、ここはどこだ?」
この言葉を何度口にしただろうか。とうに一時間以上は、ぼーっとしていた。大地がそんな中思考を振り絞ってただ一つ言えることはこの部屋には時計が無いということだけだった。
視界一面真っ白で、家具や物が何も無い。ただあるのは自分を縛り付けているこのストレッチャーと、どこかに通じる二つのドアのみだった。
「どうして、僕はここに……。それよりも何かここ落ち着くな」
一面が真っ白に映る異空間に大地は心地よささえ感じた。縛り付けられて身動き出来ないが、リラックスできると大地の脳が判断したのだ。直にそれは睡魔へと変わった。
「もう少し……寝ようか」
そう呟くと、真っ白な異空間にすぐさま深い寝息が響いた。大地は頭の中で何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
……これは夢でありますように。
……夢でありますように。
――――ゆ、め………。
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