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美香が連れていかれた先には『実験室』と書かれていた。入口のドアを見つめ、自分が今から何をされるのかと不安な気持ちでいっぱいになった。
「私をどうしようって言うのよ!」
白衣を着た男達を睨み、美香は精一杯声を張り上げた。すると、先ほどの背の高い男が不適な笑みを浮かべる。
「なぁ、断食って知ってるか?」
「……ダ、ン…ジキ? 何よ、その断食って!」
困惑した表情を見せる美香に、背の高い男はよりいっそう笑みを浮かべ高らかに笑い上げた。
「はっはっはっは! 断食も知らないのか貴様は。断食ってのは一定期間食べ物を口にしないことだよ。まぁ、貴様達の場合は無期限断食だけどな!」
「無期限って………。そんなの私、死んじゃうじゃない!」
美香は、突然の言葉にパニックに陥った。この地震のせいで食べ物を口にするのは確かに減った。でも、一生食べられないとなると気も狂うはずだ。
「い、嫌よ! こんな実験なんて! 私をここから出してよ!」
…………ドスッ。
「うるせぇなこいつ。少しは黙って眠っとけよ!」
背の高い男の一撃に、美香は意識を失った。
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