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ケータイなんてなかった頃の話だ。
僕はあの子に手紙を書いた。
高校3年のイヴの夜、
僕ははじめて、
そう、
生まれてはじめて
ラブレターを書いたんだ。
知ってる?
「誰もがサンタ、誰かのサンタ」
ってコトバを。
あの夜、
サンタくんは
クマのぬいぐるみに
ラブレターを仕込ませて、
サンタちゃんのもとへ
飛んでった。
まあ、
飛んでったと言っても、
トナカイのソリに乗って行くほど
夢見る子どもじゃなかったし、
車で行くほど
夢のない大人じゃなかったから、
だから、
歩いて行ったんだ。
真夜中の街を、
サンタちゃんの住む
「陸の孤島 ムサムラ」まで。
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