三つ目

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「今日の5時間目の書くやつ。あれお前ら全部丸つけた?」 「あぁ生徒会の投票? どうでもいいし。名前見ずに全丸にしといた」 「俺実はさ、クラスの女子に頼まれて吉北(ヨシキタ)の欄空白にしたんだよね」 「あー吉北菜子(ナコ)? あいつ立候補してたんだっけ。うわまじ俺も空白にしとくべきだったー」 「ドンマイドンマイ。で皆島は?」 「くだんねー。全バツしといた」  夕日もあと少しで没しようかという通学路。  三人の中学生が学校内の生徒会選挙の投票について論じていた。  皆島を除いた二人の内、一番背の低い井先(イサキ)が話をふる。女とよく絡み、情報好きな彼は、嫌われ者らしい吉北と言う生徒会立候補にだけ投票しなかったと言う。彼女に対して少なからず嫌悪を持っていたのだろう。その上、女子生徒からの頼みが彼の行動を後押ししたようだ。  吉北が嫌われていることを決定付けたのは、三人の中で一番背の高い加ヶ利(カガリ)の言葉。  彼の言葉は全てに丸をしてしまった、つまり吉北にも投票してしまったという後悔からきたものだ。  そこまで嫌われている吉北の話が広がるか。とそんな流れが皆島の「全バツ」ですっぱり打ち切られる。
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