いつもと違う朝

3/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
死体発見の連絡をうけた警察はすぐさま警官を派遣。 発見の連絡を受けた30分後にはお馴染みの黄色いテープで屋上への出入りが封 鎖され 現場を保存、鑑識が入り証拠になりそうな何かを探す。 刑事が現れ、遺体の状況を見ながら犯人を推測する。 通常の殺人と同じ手順を踏んでいく。 担当の刑事が現れる。 45歳のベテラン刑事、おきまりのトレンチコートはこの世代の憧れなのだろうか。 紺色のスーツ、白いシャツ、ネクタイは無く、ベージュのトレンチコート 額が徐々に上へと広がりつつある髪が短く白髪もいくつか見て取れる。 短い割りにはボサボサな印象で、徹夜でもしたのか目の下にははっきりとクマが 浮かび 気だるそうな両目は眼光だけがやたらと鋭い。 遺体を眺めながら、無精髭の生えたアゴを左手で撫で、右の眉だけを器用に下げる。 これがこの男の癖なのだろう。 「ナベさん、おはようございます。」 ベテランの後ろから若い男の声がする。 細身のスーツ、色は濃いグレー、いや薄い黒と言ったほうがいいのかもしれない。 うっすらと茶色い髪は天然のウェーブを描き、清潔感のある長さで切りそろえられ 少しあどけなさというか幼さの残る顔立ち。 歳は23だが、まだ20前でも通りそうな童顔だ。 ナベさん、そう呼ばれたベテラン刑事、渡辺刑事はこの新しい相棒、斉藤のこと があまり好きではなかった。 殺人を担当する刑事にしては、何か決意のようなものが欠けているように思う。 現にこの死体を先ほどから見ているにもかかわらず、顔色一つ変えていない。 「ひどい殺され方ですね・・・。」 斉藤は死体を眺めながら呟く。 「あぁ・・・。よっぽど恨みでもなきゃあ出来ない殺しだな・・・。」 渡辺と斉藤の目線の先には、腹を裂かれ本来そこにあるべき臓器が全てかき出さ れ、変わりに大量の紙が詰め込まれ 血だまりの中で目を見開いている男の遺体があった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!