時は流れ…

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僧「…ありがとうございます。 心が一気に晴れました。」 雪蛍「…ひとつ…。 聞きたい事がある。」 僧「なんでしょう?」 雪蛍「…差別は…なくなったか…?」 僧「………いえ。 今でも人と人は傷つけあってますよ。 ただそれは表面ではなく、心がですけど…。」 月夜「…戦争は終わったが、言葉や精神面での人と人の傷つけあい…か…。」 ボソッと、悲しい表情で小さく呟いた。 …―――なにを神妙にしておる…?……― 3人「!!」 …――?…― 雪蛍「…お久しぶりです。 大仏様…。」 …――うむ。 元気にしておったか…?…― 雪花「はい。 それはもう元気で元気で…。」 僧「…??」 雪蛍「…僧。 お主の名が知りたい。 教えてくれぬか…?」 僧「…私の名は…、ありません。」 雪蛍「…なぜ?」 僧「…恥ずかしいながらも、私は僧で、私の名はありません。」 雪蛍「…そうか…。 月夜、名を考えてやれ。」 月夜「…はい。 …木蓮…。 木蓮でどうですか…?」 僧「…僧らしくて良いですね。 ありがたき幸せです。 ありがたやありがたや。」 月夜「いやいや。 また来てください。」 木蓮「…喜んで。」 晴れやかな笑顔で木蓮は山を降りて行った。
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