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「俺を越えようてしたのかい? 剣術で。それは無理というものだよイリア。元々、男と女では体の造りが違うんだ。今だって、君の"両手"の斬撃は、俺の片手だけの剣で止められているだろ?」
「チッ……」
イリアは舌打ちをし、一旦ラクスから離れた。
「力なら負けますが、剣技では負けません」
10メートルほど離れたイリアは、そう言って剣を正面に構えた。
「負けるさ」
突如、ラクスがイリアの前に現れた――
「なっ!?」
驚愕するイリア。
それもそのはず、今までイリアはラクスの動きは完全に見えていた。
だが、今の動きはイリアの動体視力では確認出来なかった――
「負けるさ。力でも剣技でも、剣術"だけは負けられない"からね」
バキィィン
ラクスはイリアの持っていた剣を、自分の持っていた剣を使って、イリアの剣の横腹にぶつけ、"砕いた"――
「まぁ剣術って言っても刃が研がれていない剣だからね。もはや、鈍器と言った方がいいかもしれないし、それによって技術は半減すだろうけど、それはお互い様。剣術では、絶対俺が上だ」
ラクスはそう言って、自分が持っていた剣を投げ捨てる。
「まぁ、結果は目に見えていましたが、今回はただの私の悪あがきです。剣術では負けましたが、私は魔法では絶対に負けませんよ?」
イリアは不敵な笑みを浮かべてそう言い、刃のない剣を、ラクス同様投げ捨てた。
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