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数秒後、イリアの口の動きが止まった――
「『炎陣ー鳳牢(ホウロウ)ー』」
イリアがそういうと、半径20メートル程のステージを囲うように炎の壁ができ、頭上も炎で塞がれ、半球状の炎の牢屋が完成した。
「『風陣ー疾速(シッソク)ー』」
イリアは更に魔法を発動し、炎の牢屋と組み合わさり、更に熱く、強大な炎の牢屋を精製した――
「やるじゃいか。それ、上級魔法の二重詠唱でしょ?しかも、詠唱時間も短い。凄いね」
ラクスは大した驚いた表情もせず、笑顔で言った。
「私はアナタが本当にそう思っているのかうかがいかねますが、これで邪魔者はいませんよ」
「ははっ、そうだね。けど、このままじゃ暑すぎて脱水症状起こしちゃうね……『水陣ー氷濫(ヒョウラン)ー』」
ラクスがそう言うと、細かい氷の結晶が出現し、炎の牢屋を内側から冷やすかのように、炎の牢屋に沿って回転し始めた――
「やはり、アナタも上級魔法を使うことができましたか」
これには少し、イリアは驚いた様子だ。
「まぁね。流石に二重詠唱の魔法を打ち消すことは出来なかったけど、温度程度なら、少しマシになったかな」
「そうですね。まぁ今回は"見られない"ことが目的でしたから、まぁいいでしょう……それじゃあ"兄妹喧嘩"を始めましょう」
イリアの言葉にラクスは頷き、二人とも真剣な面持ちで歩み寄る――
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