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そして、歩み寄った二人は、程良く間合いを開け、止まった――
止まった二人は、それぞれ左手を前に出す。
「ルールはわかってますよね?」
「もちろん」
そう会話を交わした二人は、左手を握り締め、その拳を振り上げ――
『ジャンケンぽっ!!』
二人の言葉は見事にシンクロし、振り上げた拳を下ろし、ジャンケンをした。
そして、ジャンケンの結果は……
「ふふ。私の勝ちですね」
勝ち誇った笑みを浮かべながら、出した拳――グーをラクスに見せ付けるようにした。
まぁ結果はご覧の通り、イリアがグーでラクスはチョキ。
イリアが勝った。
「歯。食いしばって下さい」
イリアはラクスにそう言うと、拳を広げ、パーにし、その手を大きく振りかぶる。
そして――
スパーン
乾いた音が、炎の牢屋にこだまする。
「ラクスのばかっ!!」
イリアの手形がくっきりと付いたラクスに、少し涙ぐみながら怒鳴る。
「もう一回」
ラクスはビンタを特に痛がること無く、そう言ってまたジャンケンをしようとする。
イリアは無言で頷き、涙を拭きながら、構える。
『ジャンケンぽっ!!』
結果はイリアがパーでラクスがグー。
イリアの勝ち。
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