хⅢх~お買い物、そして学園入学~

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     スパーン      再び乾いた音が、炎の牢屋にこだまする。     「ばかラクスっ!……ぐずっ」    イリアは涙を溢れさせながら、鼻水をすする。      そして、再びジャンケン。      しかし、結果は変わらずイリアの勝ち。        ぺち        先ほどとは違い、だらしのない音が、炎の牢屋に小さく響く。     「ラクスの……ぐずっ……ばかっ……!」    イリアは溢れる涙を手で拭いながら、ラクスにそう言う。      ラクスは、そんなイリアのビンタを黙って受け、無言でイリアを見詰める……      そして、再びジャンケン。      結果、ラクスがグーでイリアがチョキ。    ラクスの初めての勝利。     「俺の勝ちだね、イリア。目、つぶって?」    ラクスは優しく微笑しながら、イリアに言う。      イリアは黙って、ラクスに言われた通りに目をつむる。    その時、イリアの瞳に溜まっていた涙が、目をつむると同時に、ゆったりと流れ落ちた……      そして、ラクスはイリアに後もう少しで触れてしまう程に、さらに近付くいた――        ギュッ        ラクスは、イリアを優しく抱き締める。    身長差のある二人な為、イリアの顔はラクスの胸の中に収まった……     「イリア……ごめん。本当に……ごめん。黙って消えちゃって、本当に……ごめん」    ラクスはささやくようにそう言って、イリアの頭と体を自分に抱き寄せた……    
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