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スパーン
再び乾いた音が、炎の牢屋にこだまする。
「ばかラクスっ!……ぐずっ」
イリアは涙を溢れさせながら、鼻水をすする。
そして、再びジャンケン。
しかし、結果は変わらずイリアの勝ち。
ぺち
先ほどとは違い、だらしのない音が、炎の牢屋に小さく響く。
「ラクスの……ぐずっ……ばかっ……!」
イリアは溢れる涙を手で拭いながら、ラクスにそう言う。
ラクスは、そんなイリアのビンタを黙って受け、無言でイリアを見詰める……
そして、再びジャンケン。
結果、ラクスがグーでイリアがチョキ。
ラクスの初めての勝利。
「俺の勝ちだね、イリア。目、つぶって?」
ラクスは優しく微笑しながら、イリアに言う。
イリアは黙って、ラクスに言われた通りに目をつむる。
その時、イリアの瞳に溜まっていた涙が、目をつむると同時に、ゆったりと流れ落ちた……
そして、ラクスはイリアに後もう少しで触れてしまう程に、さらに近付くいた――
ギュッ
ラクスは、イリアを優しく抱き締める。
身長差のある二人な為、イリアの顔はラクスの胸の中に収まった……
「イリア……ごめん。本当に……ごめん。黙って消えちゃって、本当に……ごめん」
ラクスはささやくようにそう言って、イリアの頭と体を自分に抱き寄せた……
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