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「まだ終わってないよ、イリア?」
ラクスの声が響いた瞬間、イリアは瞬時に振り返る。
そして、振り返ったイリアが見たもの。
それは――
「何ですか……それは……?」
巨大な白い拳。
白を基調とした、金をある程度装飾された、手甲を纏った拳。
その大きさは長身であるラクスの身長をゆうに越え、拳の状態でニメートルもあった。
「『守護神の白き手(ガーディアンハンド)』……イリアの複合魔法は握り潰させてもらったよ」
そう笑って言うラクス。
一方、唖然としているイリアは、驚きを隠せないといった表情だった。
「貴方……そんな上級魔法まで使えるようになったんですか……?」
「まぁね。"六年前"とは違って"制御"も出来るようになったからね。今はイリアより強いかもよ? それに、"記憶"も戻った。フェリのおかげでね」
ラクスはなんともなさそうに、笑顔で言う。
一方、イリアにいたっては腕をダランと下げ、脱力していた。
「記……憶? 何ですかそれは?」
「さぁね。俺はミステリアスな人間を目指してるからね。もはや"家族じゃない"イリアに教える義理はないよ」
笑顔で言うラクスだが、表情とは違い、その言葉は冷たかった。
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