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そして、そこにいたのは意識を失ったイリアだった。
服はボロボロで、ところどころが焼け焦げており、イリア自体にも火傷の跡が確認できる。
「まったく凄い怪我だね。誰がやったんだか」
「そなたであろう、ラク」
ラクスはイヴフェリカの鋭い指摘に苦笑いしつつ、「まぁね」と言って、気を失っているイリアをソッと地面に置いき、巨大な手を消した。
「『愛の左手(エロースレフト)』」
ラクスがそう唱えると、小さい手……いや、普通の人間のような手が現れた。
その手はもちろんのように白く、美しく、滑らかな、艶のある、とても綺麗な手だった。
そしてその手は、移動し、そっとイリアの額に触れた。
その刹那、白い手は瞬く間に光り輝きだし、淡白い光りの球体をにった。
光りの球体はイリアの全身をゆうに越える大きさで、光りの球体は傷付いたイリアを優しく包んだ――
変化はすぐに表れた。
見る見るうちに、瞬く間に、一瞬で、イリアの重傷ともいえる火傷の数々が癒えていった。
否、消えていった――
「ふぅ、治療完了……かな?流石に"この魔法じゃあ服までは直せない"か」
そう言うラクスの目の前には、安らかに胸を上下させている傷の無くなったイリアが横になっていた。
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