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ラクスがイリアを床き置いた直後、誰かがこちらに向かって走ってきた。
ラクスが見ると、走ってきたのは凄い形相のサラだった。
「ちょっとラクス君っ!! 私のイリアになんてことしてるのよ!!」
サラは、走ってきた為か、怒っている為か、顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「なんてことって……ただ模擬戦してただけなんだけど……」
「その模擬戦が本当の戦いになってたじゃない! しかもイリアは大怪我を負って……速く治療しないと! ……って、アレ? 治って……る?」
ラクスに怒鳴りながら、その前で横になっているイリアを見たサラは、次第に怒りのオーラが消えていった。
「サラとやらよ。ラクを甘く見るではないぞ? この程度の怪我など、ラクなら一瞬で治せるのだ」
唖然としているサラに、何故かイヴフェリカが胸を張って言った。
「いや、ラクス君が凄い魔法使いだってことは知ってるけど……イリアの外傷は、遠くから見ていた私でも、とても一日で治せるような怪我じゃないことは分かったよ。それくらい酷かった怪我を……一瞬?」
ありえない現状に、サラは頭を悩ませる。
「そんなことはいいから、イリアをちゃんとしたベッドで寝かしたいから、案内してくれないかな?」
「え? あ、うん……わかった」
サラは不快感が残りながらも、イリアの身を按じて、イリアを抱き抱えたラクスに、保健室を案内することにした――
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