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先程文を握り潰した者…泉は、廊下を獲物を捕える様な豹の如く速く走り抜けて行った。
しばらくすると、昨晩この屋敷を出て行った馬鹿弟子…霧咲 四音 が何かを物色していた蔵の前に着くと馬鹿デカい扉を開けて中へ入って行った…。
「・・馬鹿弟子…あんだけ、此処には入んじゃねぇって言ったのに…。」
なにやらブツブツと言いながら、昨日四音によって荒らされたであろう箇所を見て転がっていた鉄扇を拾い上げた。
「…本当に、春風だけ持って行きやがったな・・・・。」
蔵の外へ出ながらやはり70cmはありそうな鉄扇を軽々開いたり閉じたりを繰り返しながらそして、外に出た瞬間思いっきり鉄扇を上から下に振り降ろした。
「・・・フフ…ふはははは……。」
降ろした後、周りに大きな風が吹き治まると泉はまるで壊れた玩具のように笑い出した。
「…フフフ・・・面白いじゃねぇか・・この泉 誠様に挑戦状叩き付けるとぁ…流石は俺様の弟子だ…。
受けてたってやろうじゃねぇか・・・・どっちが格上かって事をよぉ……。ヒヒヒッ………。」
一頻り笑い終ると妖しい笑みを洩らし背には悪魔が笑っている様に見えた。
「…そうときまりゃ・・・急いで支度して追っかけねぇとな……。」
そう言うと、鉄扇…秋風を閉じ急いで旅支度をし出した。
その頃
「♪~♪~~…ッ!!(ガタッ)な・・なんか寒気が…ιιι」
四音は、機嫌良く鼻歌混じりに歩いていると、いきなりその場に立ち止まりブルブルと震えだした。
「まさか…ししょ~がιιιと・・とにかく急ごうιιι」
と、言うとその場から走り出して行った。それはまるで泉の魔の手から逃れられる様にも見えた。
―――この娘を待ち受ける者は、前にも後にも困難になる事は言う迄もない
娘を追いかけるは、人の皮を被った心は優しき師の鬼よ―――――
序章終幕
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