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一歩脇へ入った道を行けば、そこはまるで先程四音が歩いていた大通りとは違い怪しげなしかしそれでいて幻想的な世界が広がっていた。
薄暗く紫や桃色等の雪洞や電光が並び、煙が淡く立ち上ぼり甘い香りがする。
『遊廓街』
その単語は正にこの場所の為にある言葉であろう。
それを裏付ける様に店先には、まだ若い娘らが化粧をし艶やかな着物を着付けた舞妓や花魁が客引きをし店の中からは女性の黄色い聲や三味線の音色が耳に届く。
はっきり言えば、四音が不似合いな所だ。
そんな心配を余所に四音何食わぬ顔で遊廓街を歩いて行く。
「ぁら~♪浮夜船の四音はん~~。今日は真琴さんと一緒ゃないんやね~~♪」
反対方向から客と歩いて来た舞妓が四音に声をかけて来た。
「あ♪四季楽の…えっと・・・・ι」
「白蘭♪」
「あぁ~・・ごめんなさいι白蘭姐ぇさんιι」
「嫌ゃ~姐ぇさんだなんて…四音とは同じ年やのにぃ~~。」
「いえ…いくら同じ年だからと言っても、白蘭姐ぇさんの方が位が上ですから…。」
「もぅ。流石は真琴さんのお弟子さんやわ~。」
「あははは…ιι」
話しかけて来た舞妓は、四音の顔見知りらしく嬉しいそうに話している。
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