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どれくらい経っただろう…。ランスはふと、思った。いつの間にか、茜の空は漆黒の闇に包まれ、道行く先は底なし沼のようだった。
「まずいわ…」
と、つぶやいた瞬間、
「見つけた。ここから2キロ行った先に、かなり小さいけど、国がある。景気は良さそうだぜ…」
リアードが眠そうに報告した。
「他には?例えば、そうね…まともな食事ができるとか、宿にあるベッドは寝心地がいいとか、それから銃器を取り扱っている店があるとか」
淡々と条件を投げつけてきたランスに対して、リアードはいたって冷静だった。
「ハッ!ンなことぐらい、わかってらぁ。今言った国は、食い物と宿は確実に手に入る。けど、さすがに銃器を取り扱っている店はなさそうだ。大体その国の周りにある隣国は、全部何者かによって滅ぼされているんだ。国全部がそこからきれいサッパリ無くなってる。だから、そこの国の奴等にとって武器は必要ねぇみてぇだ。あとは、南西に5キロ行った所に国があるけど、ここはオレ的にお勧めできねぇ」
リアードは少しくぐもった声で答えた。まるで、その国には行きたくないようだった。
「何で?その国は、それほど景気が悪いの?」
そう問うと、リアードは震えた声で答えた。
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