※1 17歳の約束

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蝉の声が響く季節が過ぎ、鈴虫がなく夜更けに真っ黒い髪の青年が、電柱の上に立っている。 涼し気な夜、月明かりに照らされて空は、漆黒ではなく少し深いブルーにみえる。 黒髪の青年は、俯き、その顔はハッキリとは見えない、しかし、微かに見えた左目は、鋭く光りをともしていた。 今日は満月・・・。 雲の切れ目から、満月が覗かせ、青年の顔を照らして行く。 「キレイだ……」 呟くと背中から翼が生えた。満月と雲の間まで、全速力で上昇する。 そして、そこまで来ると身体を流れに任せる様にフワフワと浮かせ、雲の上から満月を見た。 今度は、ハッキリと強気な彼の顔が見える。 「来い。」 呟きと同時に強い風邪が吹き、彼は、突然現れた無数の何かに囲まれる。
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