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悠斗は、狭い路地を何度も曲がりながら先へ進む、この辺は入り組んでいて、間違えれば行き止まりだ。
ひと気の少ないこんな場所で追われるのはチョット危ない感じもするが……
チラッと振りかえるとおっさんは、全力で走ってもこの程度の様子、悠斗には追いつけそうもない。
その上、先をよむ訳でもなく、ただ付いて来るだけ、つまりこの辺に住んでいる訳ではない様だ。
だから、悠斗がおっさんをまく事は、さほど難しいモノではない。
その結果、ある路地を曲がったそこには、追ってきたはずの普通の少年がいない!
人一人が 通れるだけのスペースしかない路地、正面は行き止まりなのに、少年がいない。
キョロキョロと辺りを見回して確認するが、抜け道も隠れる所もない。
ナゼ・・・
力を使った形跡も無いのに・・・。
トン!
追跡者の後ろに、聞こえた足音、振り返るとさっきまで自分が追いかけていた少年がいた。
「おじさん、もう少し上手につけないと・・・。
子供だからって油断したの?」
悠斗は、口の端を上げ嫌味たっぷりに微笑んだ。
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