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「何を見たんだ?」
「付加の応用例に疑問があって、基礎を確認した」
基礎知識に間違えは無かったみたいだ、とヤシロはため息を吐く。
「付加ってあれだろ? えーと……」
「付加能力とはそれぞれの属性が持つ特有の能力で、火は《温度》、水は《濃度》、土は《硬度》、風は《速度》、光は《色彩》、闇は《催眠》」
どもったキアとは対照的に、スラスラと説明するセイカ。
そして目を瞬かせるキアを一瞥し、再び口を開いた。
「ちなみに《創造》《操作》《増幅》が魔法の基本であり、それに応用として《付加能力》の使用が加わる――って分かってる?」
「……も、勿論」
キアは目を泳がせ、引きつった笑みを浮かべる。
そんな様子に、セイカとヤシロは同時に溜め息を吐き出した。
「……このままじゃ進級出来ないんじゃないかな?」
「俺も思った」
憐れみの眼差しがキアに向けられる。しかも騒ぎ過ぎた所為でその眼差しは2人分では無かった。
「じ、実技があるし……」
「100点未満は留年だから、実技だけ良くても苦しいよ」
そう言いセイカは眼鏡を上げる。そして冷や汗を流すキアを見ながら笑った。
「勉強しようか」
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