第二章

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  「割と面白いよ?」 セイカは本を受け取り、鞄へと戻す。鞄は教科書などが大量に入っているのか、足下に置く際に大きな音を立てた。 「……お前だけだと思うぜ」 「そう?」 呆れた様子のキアの言葉に、セイカは首を傾げる。 そんな他愛もない話をしていると、教室にスーツを着た黒髪の女性が入ってきた。 「みんな座って」 女性の言葉に従い、皆自分の席へと慌ただしく戻る。 「今日は一ノ瀬先生早くね?」 「何かあるんじゃないの?」 そんな中、既に座っている2人は急ぐクラスメイト達を眺めていた。 皆が席に着くと、女性はにこっと笑う。年は20代後半といったところだろうか。 「37人全員いるわね」 出席簿に何かを書き込むと、微笑みを浮かべて生徒へと視線を向ける。 「えっと、本日でテストが丁度2ヶ月前ですね。昨年と同じく点数で来年のクラスが決まります。 180点以上がA組、150点以上がB組、120点以上がC組、100点以上がD組ですので皆さん頑張って下さい」 その途端、教室のあちこちからうめき声や悲鳴が上がる。 そんな様子に一ノ瀬は苦笑いしながら教室を見渡した。 「他には特に連絡はありません。それでは今日も1日頑張って下さい」 未だ騒がしい教室。誰も聞いてはいないだろうな、と思いつつ一ノ瀬は颯爽と教室を去っていった。
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