第二章

4/17
前へ
/698ページ
次へ
  「うわー……もうそんな時期かよ……」 先生がいなくなり、一層騒がしくなった教室でキアはうなだれる。 その肩をセイカは軽く叩いた。 「大丈夫だよ。今から頑張れば間に合うって」 「俺、去年は実技94点だったけど筆記が59点でB組ぎりぎりだったんだよなぁ……」 弱々しくそう呟いたかと思うと、突然勢いよく顔を上げる。 「そういやさ、セイカってどうなんだ?」 「僕? B組平均くらいだけど」 キアの予測不能な行動に目をぱちくりとさせつつ、セイカは問いに答える。 しかしキアはその答えが不服だったようで、思い切り眉をひそめた。 「なんだよ、俺は教えたのに自分は秘密ってか?」 「君が勝手に言ったんじゃない」 「うっせぇ! いいじゃねぇか、減るもんでもないしよ」 「はぁ……去年は確か実技71に筆記89だったかな」 横暴だなぁ、とセイカは思いつつ、これ以上言い争うのも面倒なので素直に答える。 しかし、期待に応えたにも拘わらずキアは眉を寄せた。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19192人が本棚に入れています
本棚に追加