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「筆記89点とか……頭大丈夫か?」
「キアよりは大丈夫だと思うけど」
「てめっ……」
「何切れてるんだ。お前が馬鹿なのは周知の事実だろ」
キアの言葉を遮る声。それを言った茶髪の人物はセイカの後ろに立っていて、冷めた目でキアを見ていた。
「あ、おはよ」
「おはよう」
にこりと笑って挨拶をするセイカ。それに応えるように少年は微かに口を緩めた。
「おいヤシロ! 自分が成績優秀だからって馬鹿にしてんのか?」
「本当に優秀ならA組にいる。それすら分からないのか」
「う"……」
悔しそうにヤシロを睨むキアだったが、相手にすらされない。
そんな2人傍観していたセイカの頭には、猫に威嚇する鼠の姿が浮かんでいた。
「ところで葛西、1年の魔法基礎の教科書ないか? 俺、実家にあって」
「んー、多分寮に置いてるよ。明日でいい?」
「あぁ、すまない」
不機嫌丸出しなキアを尻目に会話をする2人。
しかし何を思ったのか、突然キアは立ち上がりニヤリと笑った。
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