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「どうしたの?」
「ふふふ、聞いて驚くな。俺は今それを持っている!」
キアは大声でそう叫ぶと、鞄から1冊の本を取出し、掲げる。
その表紙には確かに『1年 魔法基礎学』と書かれていた。
「へー、珍しいこともあるもんだね」
「明日は嵐だな」
「まだまだ寒いから吹雪かも」
「お前等っ、これは褒めるとこだろっ!」
感嘆するセイカと、淡々と呟くヤシロ。そんな2人にキアは地団駄を踏んだ。
「どうせ間違えたんだろ?」
そんなキアをヤシロは冷めた深緑の瞳で見る。
「違うっ! 2年の教科書を無くしたから、先生にばれないよう誤魔化してるんだ!」
「そっちの方がどうかと思うけど……」
青の目でヤシロを睨みつつ、堂々とそう言う。怒りと自信に満ちた彼に、セイカの突っ込みが届くことは無かった。
そんないざこざがあったにも関わらず、最終的にキアは教科書をヤシロに貸す。
これは何だかんだ言っても仲の良い証拠であった。
「……やっぱそうだよな。ありがとう」
ため息と共に本を閉じ、ヤシロはそれをキアに手渡す。
キアはそれを受け取ると、乱暴に鞄へと突っ込んだ。
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