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「それでね、祖父は僕にこう言ってたんだ。
『マクベス。我等が壺から出れる時は恐らくお前しか生き残っていまい……』」
マクベスは元々低い声色を更に低くして、身振り手振りを加えながら先代魔王マクベスのモノマネをする。
これに耐えかねた魔物は所々でクスクスと笑い声を漏らしていた。
「『……ただな、そんなお前に言い残しておきたい事がある。我は世界征服を夢に現役時代頑張って来たわけだが、あれは割に合わん。
だって、我は力を得るために小さな頃から修行、修行を繰り返して仲間を集めていた。そして、実行に移したら勇者一人にボッコボコ。挙げ句の果てにこんな壺の中に閉じ込められる始末。
まぁ案外、壺生活も悪いものではないけど……。
止めた方が良いぞあれは。外に出られたら、普通の暮らしをするんだ』……と」
マクベスがそこまで言うと、魔物達は言わんとしていることが読めてきたらしく、ざわめきが起こってくる。
「ま、まさかマクベス様。世界征服の夢は……!?」
オークは顔を青ざめさせ、マクベスの顔を見上げる。
マクベスは大きく頷くと、改めて魔物達を見回し、笑顔を作る。
「うん、僕は祖父の意志を継いで――世界征服はやらない!
みんなも人間に迷惑掛けないようゆったりと生きて欲しい!」
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