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手を広げた魔物は不気味な笑みを浮かべながら叫ぶ。
すると、壺からは真っ黒な蒸気が部屋を包み込むように噴出した。
おおーっと壺を取り囲むように立っていた魔物達は歓声を上げる。
噴き出した黒い蒸気はやがて小さく固まっていき、人の形に変わっていった。
――いや、人と呼ぶにはあまりにも負のオーラが漂いすぎている。
漆黒の鎧を身にまとい、肌の色も人肌とは程遠い黒色をしている。反対に、オールバックに整ったその髪は白く、肩まで伸びた直毛が印象に残る。
額からは一つの角が生え、吊り上った目からは紅色の瞳が伺えた。
そう、《魔王》がここに誕生してしまったのだった。
「お帰りなさいませ、マクベス様。お体の方はいかがですか?」
先程まで薄気味悪い笑みを浮かべていた魔物は肩膝を付き、頭を下げながら魔王に尋ねる。
「……問題ない」
魔王が低い威厳のある声で言うと、漆黒のマントを翻しながら周りを囲んでいる魔物達を眺める。
そして、最後に方膝を付いた魔物へ目を向けた。
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