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そんな魔王の姿に魔物達は顔色を曇らせた。
こんな魔王で大丈夫か、と思わざるをえなかった。
棍棒を持った魔物はゴホンと咳払いをして立ち上がる。
「え~……マクベス様。私をお忘れですか? 私は200年前マクベス様に仕えていたオークです。勇者は魔物ではなく人間ですよ」
オークと名乗った魔物はそう説明すると、魔王はオークを足先から舐め回すように見つめる。
「へぇ~、君何歳? 若く見られるでしょ?」
興味津々に聞いてくる魔王に対し、オークは若干面倒くさそうに息をもらす。
「332歳でありますが……」
「332!? 今年でゾロ目だね! お祝いしなきゃ。
それに凄いな~長生きなんだね、君」
ふむふむと魔王はうつむきながら小さく頷いている。
そんな魔王をオークは半目で睨み付けるように尋ねた。
「長生きって……まさかあなたは私達の知る魔王マクベス様ではないのでは……?」
魔王はオークに目を向けると、顔に似合わない満面の笑みを浮かべる。
「そうだよ。僕達の種族はそんな長生きじゃないからね。
はじめまして」
魔王はオークに握手を求める。その姿はもはや威厳も何もあったものではなかった。
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