魔王現る

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それから数日後。 魔王が復活したという知らせは魔物達へ波紋のごとく伝わった。 復活に喜びを持つもの。また、安堵の涙を浮かべるものもいる中。 「ちっ。俺が時期魔王を狙っていたのによ」 喜びの声だけでは無いのも事実であったのだが――。 しかし復活の噂とほぼ同時に地震のP波とS波の様な関係で、もう一つこんな噂も流れ始めた。 「どうやら復活した魔王はヘタレらしい」 復活したばかりの魔王の姿を見た魔物達からすれば仕方の無い噂。 事実、魔物達が魔王を見る目は先代に比べて疑心に溢れている。 ただ、当の魔王はその事に気付きもしていないようだが……。 「あ、おはよう」 ニコニコと廊下ですれ違う魔物達に挨拶をする魔王。 その姿はもはや《混沌の覇者》の肩書きを持っていた先代の面影すらなかった。
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