第2章

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紂王は首相の商容に、どうしたら良いのかをたずねた。 商容が答えた。 「4大諸侯にご対面を許し、各地の民間風俗、風土や治世の情況についておたずねになればよいでしょう。他の諸侯については、午門外より朝賀をお受けになればよろしゅうございます」 紂王はこれを聞いて満足した。 「では、その様にしてくれ」 まもなく4人の大諸侯が朝服を正し、玉佩(ギョクハイ)を揺らして午門を入って来た。九竜橋を過ぎ、きざはし(朱塗りの回廊)まで来ると、言葉を述べて紂王に拝礼し、平伏した。 紂王は労いの言葉を掛けた。 「卿らはわしの為に徳を広め、民百姓を慰撫(イブ)し、辺境を守り、国の安定の為に大きな手柄を立ててくれた。全て卿らの功績だ。わしは満足しておるぞ」 東伯侯姜桓楚が答えた。 「臣らは陛下の大恩を受けて、諸侯を統率する位にある者です。未熟ながらも陛下の期待に添えますよう、日夜微力を尽くしております。わずかながら犬馬の労があったとしても、臣下として当然の務めを果たしたもの。まだまだ陛下のご恩に報いたとは申せません。その様にお気をかけて下さるとは、感激に耐えません」 紂王はこれを聞いておおいに喜び、さっそく首相の商容、亜相(アショウ=副首相)の比干(ヒカン)に命じて、顕慶殿(ケンケイデン)にて宴の仕度をするように伝えた。4大諸侯は叩頭し、その場を離れて顕慶殿での宴に赴いた。 一方、正殿を離れ別殿に来た紂王は、費仲、尤渾の2人を呼んだ。 「先日、お前達は天下の諸侯に美女を献上させるよう勧めとくれたな。だが、わしが命を下そうとしたところ、商容にきつく止められてしまった。今、4大諸侯がここにいるのを幸いに、明朝にでも宮中へ呼び入れ、皆の前で改めて聖旨を伝えようかと思うのだが、お前達、どう思う?」
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