第2章

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「俺は兵を率いて長いが、これまで敗けた事はなかった。それなのに今日の一線て副将の梅武を失い3軍の兵をも失った。一体どうしたらよいのだ」 そばから大将の黄元済がなだめた。 「君侯。勝敗は兵家の常と言うではありませんか。西伯侯の大軍がまもなく到着するはずです。そうすれば、冀州 一体どうしたらよいのだ」 そばから大将の黄元済がなだめた。 「君侯。勝敗は兵家の常と言うではありませんか。西伯侯の大軍がまもなく到着するはずです。そうすれば、冀州を攻め落とす事などいたって簡単。そのように気を落とされますな。お身体にさわりますぞ」 「それもそうだな」 崇侯虎は陣内で宴を設け、武将らと酒を飲む事にした。 一方、蘇護は軍の移動を終わらせ、奇襲の時を待つばかりとなった。 やがて戌の刻(=午後8時頃orおよそ午後7~9時の間)になり、軍が十里進んだところで、前から知らせがあった。蘇護は合図の大砲に火を点けさせた。 一発の砲音が天地を揺るがせた、と見るや3000の騎兵が一声に雄叫びを上げて崇侯虎の陣内へと攻め入った。崇侯虎側は油断していて、全く防ぐ事は出来なかった。 蘇護の三手の軍はいずれも勇敢に戦って、怒濤の勢いで幾重もの囲いを突破し、崇軍と応戦した。蘇護は崇侯虎を生け捕りにせんものと、たった一騎で突き進む。左右の軍門の叫びは地を揺るがした。 酔って眠っていた崇侯虎はこれを聞いて慌てて跳ね起き、刀を引っ提げ、馬に飛び乗って陣内から飛び出した。すると、灯の影に金の鎧をまとい、青い駿馬にまたがって、火竜の槍を手にした蘇護の姿が浮かび上がった。 「崇侯虎、逃がさんぞ!」 蘇護は叫ぶと、槍を繰り出した。 崇侯虎は慌てて大刀で受け止め2人は激しく渡り合った。それを見て、崇侯虎の長男崇応彪が金葵、黄元済を引き連れ助太刀に来た。 更に、蘇軍は趙丙が左の糧道門から、陳季貞が右の糧道門から入ってきて戦いに加わったため、両軍は混戦となり、深夜の激戦が続いた。
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