その3 住み込みワーク

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板橋区は坂の多い街。 僕は地獄の9区と言われる区域の配達を任される事になる。 何が地獄かと言うと、とにかく団地だらけなのだ。 勿論エレベーターなどない。 とにかくひたすら、階段を上り続けて配達。 冬でも凄い汗。 体重はいきなり6キロ落ちた。 (上野の歓楽街をノホホンと配達してるのは何て楽だったんだろう) 今更、である。 後がない。 予備校は、3日しか行かなかった。 4駅先だし、電車賃を払えば遊ぶ金が無くなる。 そう思ってた。 自転車で行っては、疲れて授業は全部寝てしまう。 結局、どんどん自堕落になった。 配達して寝て、夕刊配ったら飲みに行く。 そんな繰り返し。 一年間は、僕は辞める事ができないのだ。 それが新聞奨学金という制度だし、それを望んだのは自分だし。 色々な事は、あった。 童貞を捨てた池袋のソープ。 初めて覚えたディスコ。 先輩をぶん殴った。 なんやかんやで、ようやく1年は経過したのだった。
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