その2 日払いワーク

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当たったお金で、まず友達におごった。 良い事分けじゃないが、それくらいは痛くないし。 でも僕はどこか浮き足立っていたのだろう。 財布をパチンコ屋で落としてしまったのだ。 それはそれは青ざめた。 まだ6万入っていたのだ。 幸い、予備校の友達の知り合いの人が拾っていて、無事財布とお金は戻ってきた。 謝礼で一万も渡した僕は、本当常識無かったわけでした。 何だか親とは更に折り合いが悪くなり、ある日とうとう僕がこと切れてしまった。 父に刃向かった事は無かった。 正座して説教もよくされてた。 自分のやりたく無い事はかろうじて言えたが、やりたい事などほとんど言えなかった。 怖かったから。 「いい加減にしろよ!」 そう言って胸ぐらを掴んでしまった。 そんな事してしまった後、もうどうしていいかもわからず、謝りたくも無かったから、「図書館に行く」と言ったきり、家出してしまった。 19才1月ころ、まだ寒い季節だった。 テレビのアウトローを真似て、新聞を盗み、牛乳を盗み、公園の遊具で寝た。 友達のうちを渡り歩き、そのうちお金も尽き始めた。 僕は働かなきゃいけない環境に追い込まれた。 もう、あの家に帰りたくない。 それが決心になってしまったのだ。
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