プロローグ

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 春だ。  僕の住むこのアップル村では、春になるとサクラという木が花を咲かせる。  そして、その周りには色とりどりの花々。    毎年見るたびに顔を綻ばせるその光景も、今は名残惜しさに悲しみを募らせるばかりだった。 ( ^ω^)「…………」  僕が居るのはアップル村の広場の真ん中。  僕を囲むように、カーチャン、ドクオ、ビロードおじさん、チンおばさんが立っている。  みんなが僕の見送りに来てくれていた。  僕は今日、祖国ニューソクの兵士となるため故郷のアップル村を旅立つのだ。 ( ^ω^)「……それじゃあ、行ってくるお」 ('A`)「無事でいろよ」  最初に言葉を発したのはドクオだ。  このアップル村には年の近い人間がドクオしかいない。  必然的にドクオとは仲良くなっていった。 ('A`)「俺が兵士になる前に死んでみろ。ただじゃおかねぇからな」 ( ^ω^)「二年後かお。その頃には僕の大活躍で戦争は終わっているおwww」 ( ><)「きっとそうなんです! ブーン君はニューソクの英雄になっているんです!」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」  ビロードおじさんに、チンおばさん。  リンゴ園を育てていて、昔からリンゴをくれたりして可愛がってくれた人達だ。 J( 'ー`)し「ブーン……」 ( ^ω^)「……」  そして、カーチャン。九年前にトーチャンが戦争で死んでから、女手一つで育ててくれた。  感謝してもしきれない。 J( 'ー`)し「元気でね……」  カーチャンは今にも泣いてしまいそうだった。  息子には涙を見せまいと、必死にこらえている。 (  ω )「うん、だお」  それに気づいた僕は、目をそらす。見ていると泣いてしまいそうだったから。  僕も、カーチャンも。 (  ω )「行ってきますお」  みんなに背を向けて、歩き出した。  後ろから聞こえてくる激励の声に、手を挙げ応える。  優しい人達が住む、アップル村。  必ず生きて帰ってくると心に誓う。  絶対に。
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