粉雪よ、消えないで

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今からだいたい10年近く前だっただろうか。 俺と”雪”が出会ったのは。 いろんな事があって、すごく楽しかったな。 記憶をたどっていくと、まず始めに思い出されたのは………… 「ん、ふぁ~………あ。かったる」 口をあんぐりと大きく開けてあくびをする。 この少年の名前は相沢真樹。 もう冬が訪れて、忙しくなるはずがあまり忙しくなさそうな高校3年の受験生。 そして、その様子を見て頬を膨らましながら話すのは―― 「またそんなこと言ってるぅ~、真樹の悪いトコだよ?サボりぐせっ」 俺の人生の中で最も仲が良いと思われる女の子、北條雪だ。 雪なんて名前に似合わず結構明るい子で、実は今の俺の気になる子、でもある。 「だってさ、この建造物(学校)に何しに来てるのか疑問に思わない?」 「何って……そりゃ勉強でしょ?」 「勉強しない連中は?」 と、俺の問いに少し戸惑った様子の雪。 「何しに来てるんだろ?私もわからなくなってきた…」 「だろ?」 「だろ?…じゃないッ!」 バシィッ!! と、俺の後頭部に強烈な張り手を喰らわせて豪快な音を立てたのは数学教師の………名前は忘れた。 「相沢……お前はいつもいつもッ」 「あ~……えっと、はいはい」 「――――ッ!?」 真樹のいい加減な態度に腹を立てた数学教師(名無し)は、真樹の襟を掴んで強制的に真樹を立たせる。 「いやぁ~…もう小言は結構――」 「廊下に立ってろッ!」 うぇッ!? 今時廊下に立たせる!? 時代錯誤もいいところ………などと思っていたが。 「なるほど」 これはきつい。 恥ずかしい。俺が今まで生きてきた中でこれほど恥ずかしいことは無かった。 ていうか何だ? 何故俺だけ?雪は? 見ると教室にいる雪は数学教師(名無し)にチヤホヤされていた。 覚えていろ、数学教師(名無し)め。
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