ひみつけいさつ

3/7

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
現状把握のため、生い茂る草木の間から辺りの様子を探ろうとした時、誰かの視線を感じ、ショウは咄嗟に身を伏せた。 (見つかった!?) 激しく脈打つ心臓と、声を出しそうになる口を必死に抑え、額を地面に擦り付けるように体制を低くし、周りの草木に同化する。 カムフラージュ柄の上着と、揃いのバンダナが役に立った。 数十秒後、ショウは恐る恐る顔を上げた。 辺りには誰もいない。 視線を感じたと思ったのは気のせいだったのだろうか? 「ショウ!」 極めて間近で、不意に呼ばれビクリと身を震わせた。 見れば左手側にある広葉樹の陰から、青い帽子の男が手を振っている。 その姿に安堵のため息を漏らし、名を呼ぼうとしたが、男が人差し指を口に添え「静かに」のジェスチャーでそれを制す。 キョロキョロと辺りを伺い、素早い動きで、それでいて音を立てずにショウのいる茂みまで走る。 幸い誰にも気付かれることはなかった。 「タク…」 駆け込んで来た青い帽子の男は再び人差し指を立て、小声で言った。 「作戦は失敗だ」 「えっ!?」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加