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ショウの目が見開かれ、相手の顔を見つめる。
「残っているのは俺とお前だけになっちまった」
悔しげに拳を握り、やり場のない怒りを地面にぶつける。
「じゃあ…ヒロもコウキも…」
「やられた」
その一言で全てが終わったのだと、ショウは肩を落とした。
任務は果たされなかった。
仲間が「やられた」と言う事は、こちらの作戦が敵に知れてしまった事を意味する。
「…けど、まだ終わってないぜ」
青い帽子の男。タクミはショウの肩をぐっと掴んだ。
「お前がここにいる事は俺しか知らない」
作戦は立てたが「万が一」を案じ、各々の隠れる場所は仲間にすら知らせないようにしていたのだ。
タクミがショウを発見できたのは偶然にすぎない。
「俺がオトリになる。その隙にお前は基地に踏み込むんだ」
「そんなの無理だよ!」
「隠れていたもヤツラに見つかるのは時間の問題だ。
…だったら数パーセントの望みでもそれに賭けるしかない。
大丈夫。
お前ならできる」
多少「演技臭さ」が漂ってはいるが、意を決した眼差しに、ショウはごくりと唾を飲み込んだ。
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