1人が本棚に入れています
本棚に追加
草木を掻き分けて再び辺りの様子を探る。
「よし。
俺は左廻りに行く。
お前は右だ」
「…分かった」
「幸運を祈る」
「うん。
タクミも…また会おう!」
ショウの言葉にタクミはニヤリと笑い、青い帽子を目深に被り直す。
そして草木の間から飛び出すと、声を上げながら駆け出した。
気付いた敵がタクミを捕らえようと一斉に襲い掛かる。
「いたぞ!
捕まえろーっ!」
小柄で足の速いタクミは敵を翻弄するかのように戦場を駆け抜ける。
敵の注意が逸れ、基地の守りが手薄になった。
(今だっ!)
同じ場所に二人も隠れているとは考えもしなかっただろう。
ショウの存在に気付いた時には皆、タクミを追い、基地には誰も残ってはいなかった。
「ヤベぇ!戻れっ!
ショウが来た!!」
誰かが叫んだが、もう遅かった。
最初のコメントを投稿しよう!