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「―――――!!!!」
星が見えない闇夜の空に、おぞましい雄叫びがほとばしる。
雄叫びを上げるそれは、魔物とよばれるにふさわしい異形の者……そしてその足下に広がる。
おびただしい数の屍と赤い川。
ただ異形はその中心で雄叫びを上げる。そしてそれは赤い川の端にへたり込んだ少女をその目に映した。
少女は金縛りにあったかのように動かない。
犬のような唸り声をだしながら、少女の恐怖を楽しむようにゆっくりと近づいていく。
少女は動かず、いや動けずにいたそして……
異形は、少女の目の前にたどり着き、頬まで裂けた口がニヤリと笑い、少女を喰らおうとした時だった。
「目標確認」
冷たい声が響いた。異形の意識がそちらに向いた瞬間に、異形が3メートルほど宙をまった。
異形がいた場所には、白銀の髪に、顔を仮面で隠し、黒い服に身を包んだ青年がたっている。少女は彼を見た瞬間に気絶した。
*
白銀髪の青年――レイルは異形――《メフィスト》を、髪とは対称的な黒い目でとらえていた。
『classDのメフィスト……排除対象』
と耳の無線機から女性の感情のない声が聞こえた。
「……」
レイルは何もいわずに右手を振ると手の袖から、銀色に輝く刃が飛び出した。
目の前のメフィストは動物のように頭をふるい、レイルを睨みつける。
メフィストは、体は人間のようだが、腰から下は蜘蛛のような足が四本飛び出し、腕は大きい刃のようになっている。
普通の人間ならばその姿だけで逃げ出すだろう
普通の人間なら。
メフィストは、飛ぶようにレイルにつっこんでいくが……
レイルは面倒くさそうに右足で蹴り飛ばす。
メフィストはまたしても3メートルほど吹き飛んだ。しかし今回はそれでは止まらない。
敵との間隔を一瞬で詰め右手がブレる瞬間、メフィストの両肩、脇から赤い血しぶきがあがる。
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