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暗い部屋にサイが足を組んで座っている。
「一般人を同行させるとはどういうことだ? サイ?」
嫌みたらしい中年男の声がどこからか部屋に響き渡る。
「何かマズいですか?」
サイは笑みを崩さずに声のする方を見ている。
「君はわかっていて言っているのか? 我々はメフィストという化け物を狩るヒーローではないのだよ?」
少し怒気の混ざった声が朗々と響く。
「我々の目的はただ一つそのためのハンター……そのためメフィスト……一般人などはただのエサでしかないのだよ。しかし、エサも状況によっては脅威にもなる……だからこそ、我々はメフィストの存在を公には晒していないのだよ……それを」
サイへの文句を吐き出そうとする男の声に、サイ笑いを崩さずに一言呟く。
「……サマエル」
男の声がピタッと止まった。
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