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「……まさか」
男の声には驚きが混じっている。
「ええ……そのまさかですよ」
サイのほくそ笑んだ瞳には怪し光が宿っていた。
*
「……」
レイルは自分が歩いてきた道を睨む。
(……またか……誰かが見ているのか?)
先ほどから視線は感じるのだが、誰がどこから見ているのかわからない。
「どうかしたんですか?」
横からの声に顔を向けると、リコがレイルの顔を首を傾げながら見つめている。
「なんでもない……行くぞ」
レイルはまたさっさと歩き出す。いつの間にか旧狸小路商店街を少し外れた所だ。
「あの……まだつかないんですか?」
「……」
リコは周りの風景を見回しながら確認してきた……これで5回目だ。
「まだだ」
答えながらレイルも周りを見回す。昔は、活気があったであろう街は廃れている。もとも今現在人間が住んでいる所といったら昔の名称でいう札幌タワー……今はイノセントボックスと呼ばれる、軍事や医療などの中心になっているような場所の近く、または中に住んでいる人間が多いが……
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