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「俺は嫌いだな」
イノセントボックス……一般人にとってはただの医療施設などが集まったものだが……真実は
「パンドラの箱」
黒月の実験場だ。あそこで何人の人間が死んだのか……
「だが俺には関係な……」
「あの……さっきから何をぶつぶつ呟いてるんですか?」
リコの的確なツッコミが入り、レイルが黙り込む。
「……それにしても誰もいませんね」
リコがレイルに向かって急にしゃべりだした。何かしゃべっていないと恐怖に押しつぶされそうになるのだろうか。
「……」
「あ、当たり前か……本当はダメなんですもんね……日が落ちてから出歩くのは……」
法律で確かに禁止されていた(その法律も黒月が、圧力をかけて作ったような気がするが…)
「……あの法律もあんな化け物がいたからできたんですよね」
リコの声のトーンが落ちる。
「……さっきの奴なんてかわいい方だ」
昨日狩った奴など蜘と人間の融合体ぽかっ……
(んっ…待てよ…)
昨日確か学生がいたような……チラッとリコの顔を見る。
「なんですか?」
リコとぴったり目があってしまった。
「……昨日……なんだが」
『…なんで通り過ぎる?』
耳につけた無線からメアの冷たい声が聞こえ振り返ると、デカいバッグのようなものを背負ったメアが、突っ立っていた。
(……気づかなかった)
レイルは、顔にはださないように努力しながらUターンした。
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