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「……」
黙ってまた、レイルは黒いコートを翻し、帰って行こうとする。
「え? 何? ちょ!? 待って!! お願い!! いえ、お願いします!!!」
サイはレイルの袖を掴んではなそうとしない。
「チッ」
レイルは舌打ちをし、サイの手を振り払い、また腕を組む。
「ありがとうございます!! このご恩は……」
「いいから早く要件」
レイルは少しキレ気味にいうと、サイはふざけた顔から真剣な表情になる。
「……俺が来たのは任務の視察、それは言ったよな?」
レイルはなんの反応もしない。
「それを考慮した今回の報酬だ」
サイはレイルに封筒を渡す。
中身は札束……
「お前が今回狩ったclassDはこっちで処理しておく……人の死体もな」
サイの見た先には化け物の破片と、人の死体が散らばっている。
「あとはメフィストの目撃情報だが、今地上にいるのはclassEとclassDの下位種ぐらいだ。classA、B、Cの目撃情報はゼロだ」
「……」
レイルはそれを聞くと、腕を組んでいたのをほどき、メアの方に歩いていく。
「……残念だったな《あいつ》の情報がなくて」
その声はさっきまでふざけていた声ではない。
感情の起伏がない声……
「……」
レイルはその声に反応する事なく、その場から歩き去った。
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