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「なんだよ、生きてんじゃねーか」
少年にまだ息がある事を確認すると、二人は穴掘りを止めて少年の側に近付いてくる。
制服はボロ布のように穴だらけになり、全身から血を流し、剥けた皮膚の奥では筋肉が脈打っているのが見える。
「い、い、痛そうだ」
「よくまぁ生きてたな、コイツ」
微かに残る意識の中で少年はその光景を見る。
二人の男が対照的な表情をしてこちらを覗く。
一人は怯えた顔をして、
一人は愉しげな顔をして、
二人共その手にスコップを握り締め、
二人共その鉄の塊を空高く振り上げ、
狂気に満ちた暗い光を瞳に宿し、
――やっぱり、こんな大人にはなりたくないな。
青く、何処までも青い空を黒く塗りつぶしながら、黒羽四葉の結末は降ってきた。
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