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「あなたにはネクロマンシーを習得してもらうわ」
私の隣にいたアンジェラがアニーに問いかけた。
「ね~ね~ネクロマンシーって何?」
「強いて言うなら、操り術よ。死者の魂や肉体を、魔術によって操ることを目的として生まれた術。有名なものでは中国のキョンシーも、この術と同類よ」
すると、ディックが口を挟んだ。
「ちょっと待て。いくら何でもそれはやりすぎだと思うぜ?それに、死体を操る術なんて禁忌じゃねーの?」
だけど、アニーは冷静に対処した。
「たしかに、死体を操る術なんて禁忌に触れる。死者の魂でもそれは同じ。でも、誰がランスに死体を使わせるなんて言ったかしら?」アニーはニヤリと笑った。
「ランスに習得してもらうネクロマンシーは、死体じゃなくて人形に魂を宿して操る術よ。普通の操り術と違って、魔術によって操るからより強力な技を繰り出すことが可能になるわ」
アニーの説明が終わるまで、ランスさんは無表情のまま黙って聞いていました。そして、ようやく口を開きました。
「……死者の魂を、媒介に憑かせる……少なくともレベルの高い術ほど、体力と気力が必要……それは、魔術の増加に比例するんですか…?」
「まぁ、そんなところね」
この返事を待ってたかのように、ランスさんは言い放った。
「……その修行、あたし…やります!」
アニーもまた、これを待ってたかのように
「よく言ったわ、ランス。今日中にメニューを作っておくから、明日から修行に入って」
そして私を含めた他の4人にも、
「彼女が禁忌の術を使用する事はあたしを含め、この6人だけが知っている超厳重機密。だから、何があってもこの事を口にしないで。あなた達も明日から修行を始めてもらうから、そのつもりでいて。あたしからは以上よ。何か質問は?」
みんな、何も無いようだった。
ーーランスさんだけ、禁忌の術を…
私は思い切って、ランスさんに聞いてみた。
ーー禁忌の術を使うことに抵抗は無いんですか?ーー
答えを聞いて
私はいつも以上に
人の愚かさを知ってしまった…
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