枝豆

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今日遅くなる。 見飽きたその文字に 返信はしないのが当たり前になっていた。 さして特別な日というわけではない“今日”に責め立てる理由など見当たらない。 仕事上がりのビールは 格別美味しいのだと、 いつだったか彼がしみじみと 言っているのを聞いてから、 平日に二人で食事をするときは 決まってビールを買っている。 ついでに冷凍枝豆も買うのだが、 彼はこれがあまり好きではなかった。 「半分捨てるなら、 そんなにいらないでしょ。」 そう言われても、 何故か欠かさず買ってしまう。 それは今日も例外ではなく、 左手のビニール袋の中には 夏の暑さにじわりと溶け始めた枝豆達が 窮屈そうにひしめき合っていた。
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