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「実優さん、ただいまぁ!」
佐々木さんは手を挙げて、実優さんのほうへ駆け寄っていった。
「あら、楓ちゃんと宮部君デート?」
「ち、違いますよ!服買いに行きたいって言ったら、佐々木さんが案内してくれたんですよ。」
「久しぶりに古着屋行ったの。服いろいろ選んだりして、結構楽しかったですよ。」
「楓ちゃん、古着屋よく行ってたもんね。部屋の半分くらい、洋服で埋まってるんじゃないの?」
「そんなことないですよ!あ、私洗濯してない!じゃ、私はこれで。」
階段を駆け上がっていく佐々木さんを、実優さんと2人で呆気にとられて見ていた。
「佐々木さんって、元気で優しくて、良い人ですよね?綺麗だし。」
「ホント、良い子なのにね…。」
「え?」
切なそうな実優さんの声に驚き、顔を見た。
すると佐々木さんの部屋を見上げ、何とも言えない切なそうな顔をした実優さんがいた。
あまりに悲しそうで、理由を聞くことなんて出来なかった。
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