203号室

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4月に入り、いよいよ大学がスタート。 いろいろ不安はあったが、行ってみれば何とかなるもの。 友達も出来た。 1人暮らしの奴も何人かいて、今度の泊まりに行く約束なんかもした。 授業はまだ始まったばかりで、大変になるのはこれからだろう。 バイトは直幸さんが授業が早く終わる日や、土日を中心に入れてくれた。 飯も、なんとかなっている。 自分で作るのはまだまだだが、佐々木さんや実優さんオススメの惣菜屋にタイムセールを狙って買いに行ったりする。 たまに、コンビニ弁当を頼る。 直幸さんが安くしてくれるから。 佐々木さんはいつも変わらず、優しかった。 ゴミ出しの時に会ったりすると、笑顔で挨拶をしてくれたり。 そんな日は、朝からテンションが上がった。 1人暮らしを始めて1ヶ月がすぎ、ゴールデンウイークが近づき始めた頃からだろうか。 少し東京に慣れ始め、生活に余裕が出てきた頃。 ある1つの部屋に、疑問を感じ始めた。 203号室。 そこは夜電気もつかなければ、朝洗濯物が干されてるところを見たことがない。 住人にも、会ったことがない。 もしかして、空き部屋なんじゃないか? 考え始めると気になり、毎日観察するようになった。 1週間、何の変化もなかった。
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