真夜中に

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ゴールデンウイークが終わると、本格的に授業が始まった。 7月末には、前期のテストがある。 それに向け、みんな授業は真面目に取り組み始めた。 大学以外では、楽しく遊んだ。 友達が泊まりに来たり、たまに休みの日に買い物に出たり。 バイトに勉強で忙しかったが、楽しいことも沢山あった。 季節は梅雨入り目前で、天気の悪い日が増えてきた頃だった。 洗濯物を干し、ゴミを持って部屋を出た。 下のゴミ捨て場で、佐々木さんに会った。 「おはようございます。たまにうるさくないですか?友達来ると、はしゃいじゃって。」 「おはよう。大丈夫よ。気にしないで。学生が一番楽しい時なんだから、遠慮しないで。ところで宮部君、まだ時間ある?」 「え?」 ドキッとした。 時間があったら、何? 変な期待が、鼓動を早めた。 佐々木さんは、俺の部屋を指差して言った。 「時間があるなら、洗濯物は部屋に干して行った方がいいと思うよ?」 「え?洗濯物ですか?」 「そう、洗濯物。今は太陽も出てるけど、昼過ぎから天気崩れだすみたいだし。雨降らなければいいけど、降る可能性があるなら部屋干しがオススメ。日当たりの良い、窓際に干しておくとわりと乾くよ。」 「ありがとうございます。天気予報とか、ちゃんとチェックしてなかった。雨降っちゃったら、洗い直ししなきゃいけないとこでした。」 「天気予報は意外と大事なんだよ。特にこの時期はね。」 「これからは、気をつけます。」
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