上京

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「あれ?もしかして、鍵かけてなかった?」 「はい。すぐに来ると思ったし、中に俺らいましたんで。」 「ダメだよ、鍵はこまめにかけなきゃ。東京は何かと物騒なんだから、気をつけなね?」 「すいません。」 「じゃ、お邪魔します。」 大きな手で肩を叩かれ、直幸さんが上がってきた。 用意してきた契約書を渡し、注意事項などを説明された。 「東京はゴミの分別がうるさくてね。この分別表見て、指定の曜日に出してね。場所は下の駐車場の一角にあるから、カラス除けネットかけて出してね。あと注意するのは、音かな。9時過ぎに洗濯機かけたり、大音量でテレビやコンポを着けなきゃ問題はないよ。何か聞きたいことはあるかな?」 「いえ、今のところは大丈夫です。」 「ま、俺はコンビニか上にいるから。何かあったら聞きにおいで。」 そう言って、下のコンビニに戻っていった。 この日は親父も母さんも一泊していった。 駅前の商店街で食べ物を買い揃え、母さんがキッチンで料理を作ってくれた。 小さいテーブルは狭かったが、一緒にご飯を食べる。 狭い部屋に、テーブルと収納付きのベッドを置いてしまった。 親父たちが寝るためには、テーブルをどかさなくてはならなかった。 布団は2組用意してあり、部屋いっぱいに敷き詰められた。
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