隣人

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1人暮らしって、意外としんどい。 母さんのありがたみを、今ものすごく感じている。 そう、飯が作れなくて困っているのだ。 上京して1週間。 まともな飯を食っていない気がする。 下にコンビニはあるが、毎度毎度買って食べていたら体に悪い。 それどころか、金銭的にキツい。 柄にもなく、本屋で料理本を数冊買ってしまった。 家で読んでみるものの、どうもよくわからない。 買いてある材料を片っ端から買い、作ってみる。 応用がわからないから、結構すごい量になってしまった。 やっぱり料理は難しい。 慣れるまでに時間がかかりそうだ。 大学が始まるまで、まだ時間があった。 料理本を見たり、入学早々のテスト勉強したり。 それでも、時間を持て余していた。 時間を無駄にするのも勿体ないし、バイトでもしようと考えた。 確か、コンビニの入り口に求人誌があった。 早速、階段を下りて取りに行った。 何種類かの求人誌が置いてあった。 それを取ろうとしたとき、コンビニから視線を感じた。 コンビニを覗くと、ニコニコ顔の直幸さんがいた。 直幸さんは小走りでこちらに向かってきた。 「宮部君、バイト探してるの?」 「あ、はい。空いてる時間を有効に使おうかと思って。」 「それならさ、うちで働きなよ。」 あまりに唐突な提案に、一瞬言葉を失った。
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